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「いくらにすればいいかわからない」は、依頼を受け始めたクリエイターの悩みでいちばん多いもののひとつです。
安くしすぎると、忙しいのに生活が苦しい状態になり、あとから値上げもしにくくなります。かといって高すぎると依頼が来ない……。
この記事では、感覚ではなく計算で料金を決める方法と、用途や権利によって料金を変える考え方、値上げのタイミングを解説します。イラストを例にしていますが、作曲・MIX・動画編集・Live2Dなど、制作の依頼全般に使える考え方です。
料金は「時間単価 × 作業時間 + α」で考える
料金の土台になるのは、次の式です。
料金 = 時間単価 × 作業時間 + 経費 + オプション料金
まずは自分の「時間単価」を決めて、そこから1件あたりの料金を出していきます。
- 目標と時間を決める目標の売上 月30万円、制作にあてられる時間 月120時間
- 時間単価を出す30万円 ÷ 120時間 = 2,500円
- 作業時間をかける2,500円 × 8時間 = 20,000円
- 経費・オプションを足す素材費・外注費や、用途・特急・差分などの料金を上乗せ
ステップ1:目標の売上から時間単価を出す
最初に「月にいくら売り上げたいか」と「月に何時間制作にあてられるか」を決めます。
例
- 目標の売上:月30万円
- 制作にあてられる時間:月120時間(1日6時間 × 20日)
時間単価 = 30万円 ÷ 120時間 = 2,500円
ここで注意したいのは、売上はそのまま手取りにはならないことです。売上から、画材やソフトの代金などの経費、所得税・住民税、国民健康保険や国民年金などが引かれます。副業か専業かによっても必要な金額は変わるので、「手元にいくら残したいか」から逆算して目標の売上を決めましょう。
また、制作の時間以外にも、やりとり・見積もり・修正・SNSでの告知・事務作業などの時間がかかります。制作にあてられる時間は、思っているより少ないものです。
ステップ2:1件あたりの作業時間を測る
次に、1件の制作にどのくらい時間がかかっているかを測ります。ラフ・線画・着彩・仕上げなどの工程ごとに記録しておくと、あとで料金表を作るときに便利です。
例:アイコン(バストアップ)1点 = 8時間
2,500円 × 8時間 = 20,000円
やりとりや修正にかかる時間も含めて計算するのがポイントです。
この計算は、無料の依頼の料金表メーカーの「料金の目安を計算する」でもできます。
ステップ3:経費を足す
素材の購入費、有料フォントの使用料、外注費(背景や仕上げを誰かに頼む場合)など、その依頼のためにかかるお金があれば上乗せします。
用途と権利によって料金を変える
同じイラストでも、どう使われるかによって依頼者が得る価値は大きく変わります。そのため、用途によって料金を変えるのは自然なことです。
| 用途・条件 | 考え方の例 |
|---|---|
| 個人で楽しむ・SNSのアイコン | 基本料金 |
| 配信・動画での使用(収益化あり) | 基本料金に上乗せ、または商用プランとして設定 |
| グッズ化・販売 | 別途お見積もり。販売数に応じた設定も |
| 企業の広告・宣伝 | 別途お見積もり(使用期間・媒体で変える) |
| 著作権の譲渡 | 譲渡すると自分で使えなくなるため、高めに設定するか、受けない |
| 実績として公開しない(非公開) | 宣伝に使えない分を上乗せ |
あわせて、次のようなオプション料金を決めておくと、見積もりが早くなります。
- 特急料金:通常の納期より早く仕上げる場合(他の予定を動かす負担があるため)
- 差分:表情差分・衣装差分など(1種あたり○円)
- データ形式:PSD(レイヤー分け)での納品
- 修正の追加:決めた回数を超えた修正(1回あたり○円)
見積書への書き方は見積書の書き方とテンプレートで紹介しています。
「相場」は参考にするけど、決め手にしない
料金を決めるとき、他のクリエイターの料金を参考にする人は多いでしょう。相場を見ることは大切ですが、次の点に気をつけてください。
相場の調べ方
- 依頼サイト(主な依頼サービスの比較)やSNSで、自分と近いジャンル・近い実力・近い知名度の人を10人ほど調べる
- 「最低価格」だけでなく、オプションや用途による料金の違いも見る
- その人たちがどのくらいの頻度で依頼を受けているか(受付枠が埋まっているか)も見る
相場に合わせすぎないほうがいい理由
- 他の人の料金が、その人の生活を支えられる金額かどうかはわからない
- 作業スピードが違えば、同じ料金でも時間単価はまったく違う
- 「安いから依頼する人」は、値上げしたときに離れやすい
相場は「大きく外れていないかを確認するもの」と考え、料金の根拠は自分の時間単価に置くのがおすすめです。
安売りしないためのルール
最初は実績づくりのために安く受けることもあるかもしれません。それでも、次のルールは決めておきましょう。
- 「最初だけ」の価格は期間や件数を決める:「最初の5件はモニター価格」のように終わりを決めておく
- 個人向けと企業向けの料金を分ける:企業は商用利用が前提なので、個人向けの料金をそのまま当てはめない
- 値下げの代わりに内容を減らす:予算が合わないときは「差分をなくせばこの金額」のように調整する
- 無料の追加作業をしない:小さな追加でも積み重なると時間単価が下がる
値上げのタイミングと伝え方
値上げを考えるサイン
- 受付を開始するとすぐに枠が埋まる
- 依頼が何か月も先まで埋まっている
- 制作時間が短くなった・クオリティが上がった
- 時間単価を計算すると、目標の売上に届いていない
値上げの伝え方
- 事前に告知する:「○月○日のご依頼分から料金を改定します」と、1か月ほど前に伝える
- すでに受けた依頼は元の料金で:受注済み・見積もり済みの案件は変えない
- 理由は簡潔に:「より丁寧に制作するため」「制作環境を整えるため」など。長い言い訳はいりません
【料金改定のお知らせ】 いつもご依頼いただきありがとうございます。 ○月○日以降のご依頼より、料金を改定させていただきます。 一点一点をより丁寧に制作するための改定となります。ご理解いただけますと幸いです。 なお、○月○日までにいただいたご依頼は、現在の料金で承ります。
値上げで依頼が少し減ることはあっても、時間単価が上がれば、同じ売上をより少ない件数で達成できます。空いた時間で作品づくりや自分の発信に時間を使えるのも大きなメリットです。
料金表は「見えるところ」に置いておく
料金が決まったら、公式サイトやプロフィールなど、依頼者がすぐに見られる場所に料金表を置きましょう。料金表があると、
- 予算の合わない問い合わせが減る
- 見積もりのやりとりが短くなる
- 「安く頼めそうだから」ではなく「この人に頼みたい」という依頼が増える
といった効果があります。メニューと料金を入れるだけで、Xに貼れる画像ができる依頼の料金表メーカーも使ってみてください。
Citrushub Store を使えば、「アイコン1点」「立ち絵1体」のような依頼の受付枠を、料金や納品の目安日数とあわせて商品として公開できます。受付数の上限(例:今月は3枠)も設定でき、依頼者は先払いで申し込めます。受け付けた依頼は Citrushub CRM に案件として自動で登録されるので、受付から納品までを1か所で管理できます。
なお、依頼の受付枠をネットで販売する場合は、特定商取引法に基づく表記が必要になります。自宅の住所を公開しない方法は個人クリエイターの特定商取引法表記で解説しています。
まとめ
- 料金は「時間単価 × 作業時間 + 経費 + オプション」で計算する
- 時間単価は、目標の売上と制作にあてられる時間から出す(手取りとの差も考える)
- 用途・権利・特急・差分などで料金を変えるのは自然なこと
- 相場は参考にとどめ、根拠は自分の時間単価に置く
- 値上げは事前に告知し、受注済みの依頼は元の料金で
料金は一度決めたら終わりではありません。半年に一度くらい、時間単価と依頼の状況を見直してみましょう。

