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イラストのデータや有償依頼(コミッション)の受付枠を自分のサイトで売ろうとしたとき、多くの人がつまずくのが「特定商取引法に基づく表記」です。
「自宅の住所や電話番号をネットに公開しなければいけないの?」という不安から、販売をためらっている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、一定の条件を満たせば、住所や電話番号をページに直接載せずに済む方法があります。この記事では、消費者庁の「特定商取引法ガイド」をもとに、個人クリエイターが自宅の住所を公開しないための方法を整理します。
この記事は2026年10月12日時点の情報をもとに書いています。法令の解釈や運用は変わることがあるため、実際に販売を始める前に、消費者庁の最新の情報を確認してください。個別の判断に迷う場合は、弁護士・行政書士などの専門家へご相談ください。
そもそも特商法の表記が必要になるのはどんなとき?
特定商取引法(特商法)は、通信販売など、トラブルが起きやすい取引について事業者が守るべきルールを定めた法律です。インターネットでの販売は「通信販売」にあたり、広告(販売ページ)に事業者の情報や販売条件を表示する義務があります(特商法第11条)。
個人でも、営利の目的で、くり返し販売している場合は「販売業者」として扱われ、表示が必要になります。たとえば次のようなケースです。
- 自分のサイトでイラスト素材・壁紙・音源などのデータを販売する
- 有償依頼(コミッション)の受付枠を販売する
- 自作のグッズを継続的に販売する
なお、データやコミッションのように形のないものの販売も対象になります。「物を送らないから関係ない」というわけではない点に注意しましょう。販売の始め方はデジタルコンテンツの売り方と有償依頼(コミッション)の始め方で解説しています。
表示しなければならない主な項目
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、通信販売の広告に表示する項目として次のようなものが挙げられています(一部抜粋)。
- 販売価格(送料を含む)
- 代金の支払時期・支払方法
- 商品の引渡時期(サービスの場合は提供時期)
- 申込みの撤回・契約の解除に関すること(返品の可否や条件)
- 事業者の氏名(名称)・住所・電話番号
- 販売価格・送料以外に購入者が負担するお金があれば、その内容と金額
- ソフトウェアの場合は動作環境
- 販売数量の制限など、特別な販売条件があればその内容
このうち、**個人クリエイターが公開をためらうのが「氏名・住所・電話番号」**です。ガイドでも、個人事業者は「氏名又は登記された商号、住所及び電話番号」を表示する必要があるとされています。
住所・電話番号を公開しないための3つの方法
方法1:請求があれば開示すると表示特商法第11条ただし書・Q&A Q17
- 「請求があった場合には、遅滞なく開示いたします」と表示する
- 実際に請求されたら、すぐに開示できる体制が必要
- 請求を受け付ける連絡先をわかりやすく載せる
方法2:プラットフォーム・バーチャルオフィスの住所Q&A Q18
- 取引がそのプラットフォーム上で行われている
- 住所・電話番号を使うことに合意がある
- サービス提供者が現住所と本人名義の電話番号を把握している
方法3:つながる電話番号を用意Q&A Q20
- 24時間対応でなくてよい(夜間は留守番電話など)
- IP電話などで仕事用の番号を用意する方法も
私書箱は「住所」の表示にはなりません(Q&A Q19)。
方法1:「請求があれば遅滞なく開示します」と表示する
特商法第11条にはただし書があり、消費者から請求があったときに、その情報を書面などで遅滞なく提供することを広告に表示し、実際に提供できる体制を整えていれば、一部の表示を省略できるとされています。
消費者庁のガイドでは、省略できる項目として事業者の氏名・住所・電話番号などが挙げられています。個人事業者の住所・電話番号についてのQ&A(Q17)でも、この方法で表示を省略できると説明されています。
表記はたとえば次のようになります。
住所・電話番号:請求があった場合には、遅滞なく開示いたします。
この方法を使うときのポイントは2つです。
- 実際に請求されたら、すぐに開示できるようにしておく。 表示するだけでは不十分で、「遅滞なく」提供できる体制が必要です。
- 請求を受け付ける連絡先(メールアドレスや問い合わせフォーム)をわかりやすく載せておく。
自宅の住所が「誰にでも見える状態」にはなりませんが、請求した購入者には開示することになる点は理解しておきましょう。
方法2:プラットフォームやバーチャルオフィスの住所を表示する
消費者庁のQ&A(Q18)では、個人事業者がプラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所・電話番号を表示することについて、次のような条件を満たす場合は、それを表示することで足りると考えられるとしています。
- 取引がそのプラットフォーム上で行われていること
- その住所・電話番号を連絡先として使うことについて、事業者とサービス提供者の間で合意があること
- サービス提供者が、事業者の現住所と本人名義の電話番号を把握していて、確実に連絡が取れる状態であること
ただし同じQ&Aでは、不誠実な対応で消費者から連絡が取れないような事態が起きる場合は、表示義務を果たしたことにはならないとも書かれています。住所を借りるだけでなく、そこに届いた連絡に確実に対応できることが前提です。
バーチャルオフィスを使う場合は、契約内容(郵便物の転送、電話の取り次ぎなど)が上の条件を満たしているかを確認しましょう。販売サービスによっては、運営会社の住所などを表示できる仕組みを用意している場合もあります。
方法3:電話番号は「つながる番号」を用意する
電話番号を載せる場合でも、24時間対応しなければならないわけではありません。消費者庁のQ&A(Q20)では、営業していない夜間などは留守番電話などを使ってかまわないとされています。
個人の携帯電話の番号を載せたくない場合は、IP電話や電話番号サービスで仕事用の番号を用意するのもひとつの方法です。ただし「確実に連絡が取れる番号」である必要があります。
やってはいけないこと:私書箱を住所として載せる
消費者庁のQ&A(Q19)では、私書箱を表示しても「住所」を表示したことにはならないとされています。私書箱の住所だけを載せるのは避けましょう。
省略できない項目に注意
方法1の「請求があれば開示」で省略できるのは一部の項目だけです。消費者庁のガイドでは、次のような項目は省略できないとされています。
- 返品に関すること(返品できるかどうか、期間などの条件、送料の負担)
- 申込みの期間(期間限定販売の場合)
- ソフトウェアの動作環境
- 定期購入などの継続契約の条件
- 販売数量の制限などの特別な販売条件
- 電子メールで広告を送る場合の、事業者のメールアドレス
特に返品・キャンセルの条件は必ず載せましょう。デジタル商品やコミッションは「購入後の返品はできません」としているクリエイターが多いですが、その場合もはっきり書いておく必要があります。
購入直前の「最終確認画面」にも表示が必要
2022年6月の法改正で、インターネット通販では申込みの最終確認画面にも、分量・販売価格(送料含む)・支払時期と方法・引渡時期・申込期間・申込みの撤回や解除に関すること(返品の条件など)を表示することになりました(特商法第12条の6)。
自分のサイトにカート機能を作る場合は、購入ボタンを押す前の画面でこれらが確認できるようにしましょう。販売サービスを使う場合は、サービス側で対応しているかを確認しておくと安心です。
個人クリエイター向け 特商法表記の例
デジタル商品とコミッションを販売する場合の例です。そのまま使うのではなく、実際の販売内容に合わせて書き換えてください。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 販売事業者 | 請求があった場合には、遅滞なく開示いたします。 |
| 所在地 | 請求があった場合には、遅滞なく開示いたします。 |
| 電話番号 | 請求があった場合には、遅滞なく開示いたします。 |
| メールアドレス | example@example.com |
| 販売価格 | 各商品ページに記載の金額(税込) |
| 商品代金以外の必要料金 | なし(インターネット接続料金・通信料金はお客様のご負担となります) |
| 支払方法 | クレジットカード |
| 支払時期 | ご注文時にお支払いが確定します |
| 引渡時期 | デジタル商品:決済完了後すぐにダウンロードできます。 制作のご依頼:ご注文から○日以内に納品します(目安は各商品ページに記載)。 |
| 返品・キャンセル | デジタル商品:商品の性質上、購入後の返品・返金はお受けできません。 制作のご依頼:制作開始前に限りキャンセルを承ります。制作開始後のキャンセルはお受けできません。 |
| 動作環境 | 各商品ページに記載(PNG形式の画像を表示できる環境) |
氏名の欄も「請求があった場合には開示」とするかどうかは、ガイドで省略できる項目に含まれています。ただし、活動名やサイト名がわかるようにしておくと、購入者は安心して購入しやすくなります。
よくある質問
Q. SNSで「依頼受付中」と告知するだけでも表記は必要ですか?
SNSの告知から自分の販売ページや決済に誘導して受付をする場合は、その販売ページに表記を用意しておくのが基本です。依頼を受けるたびに個別に見積もりをして契約する形なら事情が変わることもあるため、販売の形に合わせて確認しましょう。
Q. 表記をしないとどうなりますか?
表示義務に違反した場合、行政からの指示や業務停止命令などの対象になることがあります。何より、販売者の情報がわからないページは購入者にとって不安です。表記は「信頼して買ってもらうための情報」と考えて、きちんと整えておきましょう。
Q. 販売サービスを使えば自分で表記を作らなくていいですか?
サービスによって、表記のページを用意してくれるもの、住所の代わりに運営会社の情報を表示できるものなど、対応はさまざまです。ただし、表記の内容(返品の条件など)は自分の販売内容に合わせて入力する必要があります。サービスごとの手数料の違いは販売手数料の比較、住所以外の身バレ対策は身バレを防ぐクリエイターのプライバシー対策でまとめています。
Citrushub Storeなら、表記の準備もかんたん
Citrushub Store では、作品データやコミッションの受付枠を、あなたの公式サイトから直接販売できます。販売者情報を入力すると特定商取引法に基づく表記のページができあがり、ストアページ・商品ページ・購入画面からリンクされます。個人の場合は住所と電話番号を非公開にし、「請求があった場合には遅滞なく開示します」と表示する設定にも対応しています。
出店料・月額料金は0円で、販売手数料は5%(別途、決済手数料3.6%)です。
まとめ
- ネットで作品やコミッションをくり返し販売するなら、個人でも特商法の表記が必要
- 住所・電話番号は「請求があれば遅滞なく開示」と表示して省略できる(実際にすぐ開示できる体制が条件)
- プラットフォームやバーチャルオフィスの住所は、条件を満たせば表示に使える
- 私書箱の住所はNG。返品の条件など、省略できない項目もある
- 購入直前の最終確認画面にも、価格・支払い・引渡し・返品などの表示が必要

